松葉ヶ谷雁信

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一瞬一瞬が修行

前回私がお話したことを覚えておいででしょうか 私がこのお寺で行いたいことは 特別なことや大きな事をではなく なすべきことを行いたいとお話しました それは 前の人達が作り上げたものをきちんと理解評価をし 今の状況を把握して そして将来のことを考えて進みたいということでした その1つの例として 私は本堂に飾ってある過去の先生方の写真を動かすことを考えていますとお話しました

お一人おひとりの先生方のことを考え 先生方がメンバーと共にどのような苦労をし どのような貢献をこのお寺のためにして頂いたのかをまず考えます そのご苦労が現在までどのように繋がってきているのかを理解します そして これから私達が何をすべきかの議論が始まると思っています ここまでが準備段階となります その上で 実際にどこに動かすのかを話し合うことになります 場所が決まれば 動かす場所の準備をしなければなりません また 動かした後のことも考えなければならないと教えられました 動かした後は 壁に穴があいています その穴を埋めて色を塗るだけでよいのか 厳密に言えば この壁は10年前に塗られたものですから 色が少し変化しているはずです 当時と全く同じ色のペンキを買ってきても どうしても違いが出てくるでしょう その違いはどのくらいのものなのか 私には想像つきません もしほとんど差がないようでしたら 気にする必要はないでしょう しかし もし大きな差があったらどうでしょうか 単に穴を埋めて色を塗るだけでは 済まなくなります 可能性として 両側の壁の塗り替えなければならなくなるかもしれません 両壁だけ違う色はおかしいとなれば この本堂内の全ての色を塗り替えることも考えなければならなくなります このように 先生方の写真を動かすだけでもたくさんのことを考え 検討しなければなりませんし 大きなお金が必要になる可能性もあります

これ以外にも 目の前に解決しなければならないいろいろな問題が私たちにあります 例えば この本堂のすぐ横にある小さな池ですが 今は空になっています 以前水をたくさん入れてみましたが だめでした どこかが壊れて 水が溜まらなくなっているのです このままでは 子供が落ちたりするかもしれず とても危険です 幸い修理できるそうですが そうでなければ埋めるかどうか議論しなければなりませんでした その他 この本堂の西側の屋根に色がついて見苦しくなっていますし 隣の本館の軒下の塗料が剥がれ落ちて危険な状態です 雨樋も壊れています 単に修理すればよいのではなく どのような経緯でこのようなことになったのかまず理解し 今後これをどのようにしたいのかも決めなければなりません そうでなければ 時間とお金の無駄になりかねません このようにこのお寺を護るために私達は多くのことをしなければなりません

このお寺は 皆さんのお寺です 昔は 皆さんのご両親やおじいさんおばあさんのお寺でした 将来は 皆さんのお子さんやお孫さんのお寺となるでしょう そのための準備が今必要なのです 自分の信仰のためだけでなく このお寺を残してくれた人のためであり これからこのお寺を引き継ぐ人のために 共に努力を重ねたいと思います

もう一度この本堂を見回して下さい 明るくて本当にきれいな本堂だと思いませんか 私はこの本堂が大好きです この本堂を残すため そしてこの本堂を充分活用するために皆さんの協力が必要です どんなことでもいいのです 私にはこれができる これなら可能だということがあれば 教えて下さい 自分でなくても家族や知人でも結構です お寺をよくしたいという気持ちがあれば 手伝ってもらえるだけでかまいません 特に大工仕事や電気関係のことができる人をお寺は求めています

仏教の修行というと お経を読むことや瞑想することだと考えがちですが そうではありません 何も特別なことではなく 私たちに日常生活の一瞬一瞬が修行なのです そして特にお寺の活動に協力することは重要な修行といえます 何故なら お寺の活動は仏様の教えを実践するために行われることであり 修行の場であるお寺を維持管理するために行われることだからです お寺を維持管理することは 多くの人に修行の場を提供することになり 教えを弘め実践することに繋がります だからお寺は大切なのです

2013年6月2日