松葉ヶ谷雁信

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先師会法要と清正公祭り

今日は 先師会法要並びに清正公祭りを執り行いました 先師会とは この別院およびハワイで活躍された先生方を追悼する法要です ハワイで布教が始まって100年以上の時間が経ちました この別院の主任に限っても10名の先生が亡くなっておられます 具体的には1946年に亡くなられた初代高木行運先生 1977年に亡くなられた第2代布目潮清先生 1927年に亡くなられた第3代絹谷顕保先生 1943年に亡くなられた第4代末藤弁孝先生 1987年に亡くなられた第5代渡部公允先生 1947年に亡くなられた第6代生駒恵純先生 1963年に亡くなられた第7代望月桓龍先生 1986年に亡くなられた第8代沖原龍進先生 1992年に亡くなられた第9代飯島貫実先生 2001年に亡くなられた第11代村野宣忠先生 准歴の生駒龍恵先生です

副主任や助員を務められた方は 8名が亡くなられました ハワイ州全体に広げると 22名の先生が亡くなっておられます 昨年11月には 1982年から85年まで別院で助員を務められた酒井章光先生が60歳で 今年になってマウイプウネネ教会主任を10年務められた熊沢海樹先生が先月5月13日に亡くなられました まだ66歳の若さでした 突然のことで非常に驚くと共に深い悲しみに襲われました

それぞれにハワイの日蓮宗のために一生懸命努力された方ばかりです 皆様もそれぞれに色々な思い出が思い起こされることと思います 今日の発展は全てその方たちのお陰と思い 私はとても感謝をしています 今日は感謝の思いを特に込めてお題目をお唱えしました

さて 清正公祭りについてもお話したいと思います 先程感謝の思いを込めてお題目をお唱えしました といいましたが それは清正公についても私は同じ気持ちでした 考え方によっては清正公のお陰でこのお寺ができたといえるのです ですから 私達は清正公に恩があるのです そのことを忘れてはいけないと思っています

それは 1902年にカパパラにお寺を建てた高木先生は 州都であるホノルルにお寺を建てる機会をずっと待っていました そのやっと機会が訪れたのは 10年後の1912年でした 当時加藤神社という神社がホノルルにはありました 日蓮宗のお寺である本妙寺に加藤清正公が元々祭られていました それが神社として独立したものが加藤神社です その分社が1911年(明治44年)にホノルルで創建され 熊本県出身の移民の尊敬を集めていました その加藤神社の宮司さんから お寺と神社を合併したものを作りたいから適当な日蓮宗の先生を紹介して欲しいという依頼があったのです これは私の想像ですが 創建間もない加藤神社は 充分な活動ができる状態ではなかったと思います そのため お寺と神社を合併した元々の形で活動を検討し 高木先生に依頼をしてきたものと考えます この話し合いのために高木先生はカパパラからホノルルに出てきました 宮司さんとの話し合いでは 将来の紛糾を予想して断り ホノルルの信徒さんたちと協議の結果 日蓮宗独自のお寺を建立することになりました それが このお寺の始まりです 高木先生の判断は正しいものでした それは このお寺はこれほど繁栄したのに対し 加藤神社は1965年に現在の石鎚神社に合併し 独立した存在としては残っていません

さて 加藤神社についてお話します 加藤神社は熊本県の領主であった加藤清正公を祭る神社です 清正公を音読みすると清正公になり 現在ではセイショーコーという呼び方が一般的となっています 加藤清正は 1562年に生まれ 1611年に亡くなっていますから 今から約400年ぐらい前の人です 豊臣秀吉の家臣として有名で 熊本の領主でした 築城や治水等の土木技術に優れ 産業の育成をはかり 熊本発展の基礎を作りました また 日蓮宗の信仰も非常に篤く 人格も高潔な人であったと現在でも熊本では絶大なる尊敬を集めています 日蓮宗においても加藤清正は 信仰の手本として崇められています 1902年に建てられたカパパラ教会の写真を見ると 本堂の屋根の上に加藤清正の家紋が掲げられており 清正公信仰を基にしてお寺を建てたことがわかり 多分熊本県出身者を中心としたメンバー構成であったと思われます 加藤神社もそのようなことを前提としてハワイに進出してきたものと考えられます

今日は お厨子から出して御宝前にお祭りしております 現在のより1つ前のお厨子に 1912年9月1日に熊本の本妙寺で開眼されたことが書いてありました つまり このお像は少なくとも100年以上前に作られたものであるといえます いつハワイにお移ししたのかはわかりませんが かなり早い段階でお出でになったものと思います そしてこのお寺でずっとお祭りされてきたものです 清正公信仰をきっかけとして 高木先生はホノルルに進出し このお寺ができました 私達はそのことを忘れてはいけませんし 感謝しなければなりません 今後も私達は清正公を手本として信仰に励み このお像を末永くお祭りしたいと思います

2013年6月9日