松葉ヶ谷雁信

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合掌

今日は合掌についてお話をしたいと思います 合掌といえば 仏教徒としての基本中の基本です もちろん仏教徒だけでなく キリスト教徒もイスラム教徒も合掌をします しかし あまり知られてはいないことですが 神道では合掌をしません ですから 日本特有のものではなく 仏教のものなのです 合掌は基本であるといいましたが あまりにも基本であるが故に正しい合掌の仕方がわからないことがあります おじいさんやおばあさんがこのようにしていたから自分のこうしている そのような人が案外多いのではないでしょうか 実は合掌については 以前にもお話ししました 私だけでなく 他の先生もされていると思います 覚えていますか?忘れてしまったかもしれませんね 物忘れが激しくなったといわれる方が最近増えてきたように思います

どのくらい記憶力があるのかちょっとテストしてみましょう
昨晩は何を食べましたか? 覚えている人は手を上げて下さい ほら すぐに思い出せなかったり 覚えていない人が結構いると思います 実は私も覚えていません 昨日の晩のことでさえ覚えていないのですから 随分前にお話したことを覚えていないのは仕方のないことでしょう だから今日はしっかりと聞いて下さい

さて 合掌の仕方ですが まず手を合わせます この時指を開いてはいけません 右手は聖なる手を言われ 仏様を表しているといわれます 左手は俗なる手を言われ 私たちを表しているといわれています 仏様と私たちが一つになるのが合掌なのです 合わせた両手の間に何があるかわかりますか?仏様と私たちを繋ぐもの つまり右手と左手の間には信仰があるのです ここでもし指が開いていると 仏様と私たちの一体感 そして私たちの信仰が指の間からこぼれてしまいます ですから 必ず指を閉じて下さい 合わせた手を胸の上に置きます この時中指の先が顎に付くように合わせた手を胸に置きます そして 合わせた手を45度前に傾けます 背筋を伸ばして 顎を引いて 肩の力を抜いて 下に卵を挟んでいるつもりで脇を少し開けます これが完璧な日蓮宗の合掌です 宗派により多少合掌に仕方は違いますが 私たちのものが最も美しい合掌だと思っています 言葉にすると 少し難しく聞こえるかもしれません 実際に行ってみるとそれほど難しいことはないと思います もう一度言いますので やってみて下さい 左右の手を合わせます この時 指は全て閉じます 中指が顎に付くように合わせた手を胸に置きます そして45度合わせた手を前に傾けます 背筋を伸ばして 顎を引いて 肩の力を抜いて 下に卵を挟んでいるつもりで脇を少し開けます これを覚えて下さい

昨日食べたものも覚えられないのに こんな難しいことを覚えられないという人がいるかもしれません しかし 心配要りません きっと覚えられます 何故なら 晩御飯のメニューは毎日変わります 毎日変わるから覚えられないのです しかし 合掌の仕方は変わりません いつでもどこへ行っても変わりません ハワイでもアメリカ本土でも日本でもヨーロッパでも世界中どこでも日蓮宗の合掌は同じです 変わらないから覚えられます 一度覚えたらどこでも使えます このお寺でも 自宅でも 身延山でもホワイトハウスでも使えます ではどうすれば覚えられるか どうすれば忘れないですむか それは毎日正しい合掌をすることです 毎日朝夕に仏壇の前に座って 合掌してお題目をお唱えして下さい 家に仏壇がなければ 朝太陽に向って 合掌してお題目をお唱え下さい 新しい一日を迎えられたことを感謝し 今日もまた安全で平和な一日でありますようにと合掌してお題目をお唱え下さい 毎日合掌すれば忘れません もしそれでも忘れてしまったら 私たちにもう一度聞いて下さい 何度でも教えますから安心して下さい そして覚えたら 必ず家族親戚友達に教えてあげて下さい 教えることによって 私達は忘れることから逃れられます

ところで 合掌はとても美しい姿勢だと思いませんか 合掌とは手を合わせるという意味ですが 単に手だけの形ではありません 体全体の形であり 心の形でもあるのです 仏様を敬い 平和を求める仏教徒の心の形なのです 何故なら 合掌したまま暴力を振るうことはできません 合掌は非暴力の形です 敵愾心のない信仰の形 祈りの形です だから 美しいのです このことも合わせて覚えておいて下さい

2013年8月4日