松葉ヶ谷雁信

Scroll

礼拝

今日は礼拝についてお話したいと思います 皆さんのように椅子に座って礼拝をする場合は 合掌して そのまま上体を45度前に倒します もしできない場合はできるところまでで結構です 体を倒すに従って目を閉じます できるだけ背筋を伸ばしてください 頭だけ傾けたり あるいは体だけ傾けるのは正式な礼拝とはいえません 礼拝している時間は その時によって違いますが お題目をゆっくりと一回お唱えするぐらいが目安となります 体を元に戻すに従って目を開けます 礼拝する時も元に戻る時も静かにゆっくりと行って下さい

立って礼拝する時は 全身をきちんと伸ばし 合掌して目を閉じながら上体を 45度前に倒します 皆さんの普段の生活の中で床に座ることはほとんどないと思います しかし 参考までに床に座って行う礼拝ついてもお話します 基本的には 椅子にすわっったり立って行うものと同じように 合掌したまま上体を 45度前に傾けます 足の形は正座です できるだけ正座が望ましいのですが できない場合は安座でも結構です

何故私達は礼拝するのでしょうか 何故私達は礼拝しなければならないのでしょうか 礼拝は仏教徒にとって感謝と尊敬を表す方法だからです 考えてみて下さい 頭を差し出し 目は閉じて 両手も合掌して動きません 全く無防備な状態なのです 自分をさらけ出している姿です その上 頭を下げることによって自らをおとしめ 相手を仰ぐ だからこそ感謝と尊敬を表す姿といえるのです 相手に悪意や侮りがあればできない姿です

では 誰に礼拝するのでしょうか 一番の礼拝の対象はもちろん仏様や日蓮聖人です このお二人にはいくら感謝と尊敬を表しても足りません しかし 礼拝するのはお二人だけではありません 私は皆さんにも礼拝します 何故だかわかりますか?それは 皆さんは心の中に仏様の世界を持っているからです 皆さんの心の中にある仏様に向って礼拝するのです 全ての生きとし生けるもの 人間も動物も植物も全て命あるものは 心があります 心があるものは その中に仏様の世界があります だから礼拝するのです では命がないものはどうでしょうか 本堂の外に永代供養塔があります 全て石でできています しかし 私達はここでも礼拝します 何故でしょうか それは 開眼することにより ここに魂を入れ 仏様の世界とのつながりを作ったからです だから 命のない石の塔にも仏様の世界があり 皆が安心して過ごすことができるのです だから 礼拝するのです

合掌と礼拝というテーマからは少しずれるかもしれませんが 最も丁寧な礼拝についても お話しておきたいと思います それは 先ほど仏様と日蓮聖人にはいくら感謝し尊敬しても足りないとお話しました ですから 仏様に対して特別な礼拝の方法があります それは 五体投地あるいは伏拝と呼ばれる最上級の礼拝です その方法は 椅子に座ってはできません 床に座り おでこと両肘 両膝を地に着けて行います 手は合掌を解き 両耳のところに手のひらを水平にして付けます これが 日蓮宗で最も丁寧な感謝尊敬を表す礼拝です 私や池永先生が法要の最初と最後でこの方法で仏様に礼拝をしていることをご存じだと思います

さて ではいつ礼拝をすればよいのでしょうか 本堂に入る時と出る時 法要中お坊さんが礼拝している時 お焼香の前後 いろいろあります 結論から言うと いつでも礼拝していいのです 礼拝は特別なものではありません いつでもどこでも礼拝して下さい 日常生活において感謝と尊敬を表すために どんどん礼拝して下さい 前回お話しましたように 8月24日にはこのお寺で盆踊りが行われます その日を 私は合掌の日と名づけました 内のメンバーだけでなく その以外の多くの人がお出でになります 外からのお客様をお迎えするのですから 仏教徒として皆様には合掌でお迎えして欲しいと思っています 特に 感謝の意を表する時には是非合掌して欲しいと思います そして可能であれば 多くの人に礼拝して下さい そして 皆さん自身も多くの人に礼拝されるような人になってください

今日は礼拝の仕方についてお話しました 前回の合掌と合わせて忘れないようにして下さい 私たちにとって合掌とは 単に手の形ではなく 体全体の形であり心の形であること 合掌は非暴力の形であり 信仰と祈りの形であること 合掌して礼拝することは 深い感謝と尊敬を表すことです お題目を3回唱えてから 仏様と仏様の教え 日蓮聖人 そして皆さんの心の中にある仏様に信仰感謝尊敬を込めて礼拝し 私の法話を終わりにしたいと思います

2013年8月11日