六根清浄
今日は ご存じの通り御会式の日です 御会式とは 私たちの宗祖日蓮聖人がご入滅されたことを追悼する法要のことで ご命日とほぼ同義で使われている言葉です 宗祖は 1282年10月13日に現在の東京で亡くなられました 皆さんの右側にかけてある絵はその時の様子を描いたもので 原画は身延山に格護されています
さて 過日あるメンバーからお守りを見せられました 何を書いてあるのか その意味は何かと尋ねられました 確かにお守りにそれぞれにいろいろなことが書かれており その字が読めるとそれが何のためのものであるのかわかります ハワイを含めた外国のメンバーにとっては 漢字はかなり難しく 理解するのは大変なことであります そこで 今日はそのお守りに書いてあったことについて少しお話をしたいと思います
そのお守りは 1インチ×2インチくらいの小さな木片に紐がついており 4つ文字の漢字が書かれていました 書かれていたのは 『六根清浄』という言葉でした これは 法華経の中の言葉で 常不軽菩薩品第20に2回出てきます
六根とは眼 耳 鼻 舌 身 意のことで 6つの能力を意味し 更にその能力を有する器官を指します つまり 眼は物を見ることができる視覚能力と視覚器官を意味するのです 最初の5つについては感覚及び感覚器官ですが 意については少し違います 意は 知覚能力であり 知覚器官を意味します そして この能力の対象となるのが 色 声 香 味 触 法の6つです これを逆に言うと 六根とは これらの対象に執着していることを前提としています この執着を離れ 清らかな状態となることが六根清浄という言葉の意味なのです そして それが悟りをえた状態ともいえるのです ですから 六根清浄という言葉は 暗に執着を離れて悟りをえられますようにという祈りを表した言葉なのです
第6の感覚というと 映画にもなりました第6感を想像するかもしれません あの第6感は 眼 耳 鼻 舌 身の5感を超える物事の本質をつかむ心の動き 直感 霊感などを意味します しかし 今お話した仏教で言う第6感覚とは別物なのです ですから少し注意が必要です また 現代では5つの感覚以外に他の感覚があることが知られています 例えば 平衡感覚です 体がまっすぐ立っているあるいは傾いているとわかる感覚で 第6感とも言われています これ以外にも感覚といえるものがあるようです
話を元に戻します 六根清浄という祈りについてはご理解頂けたと思います ではどのようにしたら六根清浄の状態になれるのでしょうか 法華経の常不軽菩薩品第20では下記のように説かれています
「先に説きたもう所の法華経の二十千万億の偈を聞いて 悉く能く受持して 即ち上の如き眼根清浄耳鼻舌身意根清浄を得たり」 是の六根清浄を得おわって法華経をよく聞いて受持することによって 六根清浄完成されるといっているのです もちろんその前提として法華経に対する信仰が必要となります つまり 法華経を信仰し よく聞いて 受持することによって 六根清浄が達成されるといえます
ですから お守りの六根清浄という言葉の本当の意味は 法華経を信仰し よく聞いて 受持することによって 悟りを得ることができますようにという祈りが込められたものなのです 小さな木のお守りですが このような重大な祈りが込められていることをご理解頂きたいと思います そして その方がお守りを見る時には この祈りを思い出して信仰心を起こして頂きたいと思います 皆さんもお守りをお持ちですか どのようなお守りですか もし意味がわからなかったら 遠慮なく尋ねて下さい
2013年10月13日