お釈迦様
今日は 花祭り祈祷会として 花祭りと月例祈祷会を同時に行いました ご存じの通り お釈迦様は今から約2500年前に現在のネパールでお生まれになりました お母様である麻耶夫人が ある夜に6本の牙を持つ象がお腹に入る夢を見て妊娠され 実家で出産するために帰る途中のルンビーニ園で 右の脇腹からお釈迦様をお産みになりました お生まれになる時 甘露の雨が降ったりその他の奇跡がおきました その故事に倣い花祭りには 花咲き乱れるルンビーニ園を模して多くの花で御堂を飾り 誕生仏に甘茶をかけてお祝いします お釈迦様は お生まれになるとすぐ7歩歩いて天と地を指して「天上天下唯我独尊」と言われたそうです しかしこれは他の人が仏様を讃えた言葉が仏様自身の言葉として誤って伝えられたもののようです
以前私は 何故お釈迦様が右の脇腹からお生まれになったのかわかりませんでした もしかしたら 現在の帝王切開のような手術でお生まれになったのかもしれないと考えていました しかし違いました インドに参拝旅行をされた先輩が教えてくれました インドでは 貴族などの貴人は右の脇腹から生まれ 普通の人は真ん中から 奴隷階級の人は左の脇腹から生まれると言われているそうです つまり お釈迦様が 右の脇腹からお生まれになったというのは インドの文化を反映したものだったのです
お釈迦様はシッダールタ＝ゴータマというお名前でした その名前のシッダールタとは目的を達成するという意味で ゴータマは最高の牛を意味するのだそうです 牛はインドでは神聖なものとされています 最高の牛であれば 最も神聖と考えられると思います また 後年悟りを得られたことを考えると 目的を達成するというお名前も非常に相応しいものといえます
さて 歴史上のお釈迦様は約2500年前にお生まれになりました ところが 法華経においては お釈迦様は遠い昔に悟りを得られ 永遠に生き続けるといわれています そしてあちらこちらの世界に いろいろな時に生まれたことがあると言われているのです もしそうであるのならば 何故この世にお生まれになったのでしょうか この世にお生まれにならなければならない理由があったのでしょうか
皆さんの目の前に英訳された法華経を置いています 池永先生が所長を務めておられる日蓮宗開教布教センターのご好意により寄付して頂きました その本を手にとって ３２ページを開いて下さい 最初の段落です
舎利弗 いかなるをか諸仏世尊は唯一大事の因縁を以っての故に世に出現したもうと名づくる 諸仏世尊は衆生をして佛知見を開かしめ清浄なることを得せしめんと欲するが故に世に出現したもう 衆生に佛知見を示さんと欲するが故に世に出現したもう 衆生をして佛知見を悟らしめんと欲するが故に世に出現したもう 衆生をして佛知見の道に入らしめんと欲するが故に世に出現したもう 舎利弗 是を諸仏は唯一大事の因縁を以っての故に世に出現したもうとなづく
そこに 一大事の因縁をもってこの世にお生まれになったと言われています 目的があってこの世にお生まれになったのです その目的とは私たちに仏様の知見を開き 示し 悟らせ 入らせることでした つまりは 人々を悟りへと導くためだったのです 悟りとは 永遠で完全な幸せです 人々を 私たちを幸せにするためにお釈迦様はこの世にお生まれになったと言っておられるのです 本当に有り難いことだとおもいます ですから 仏教の教祖が誕生されたからただ単にお祝いをするのが花祭りというわけではないのです 私たちのためにこの世にお生まれになられたことを感謝し お礼を言うための儀式が花祭りでもあるのです 心からのお祝いとともに感謝の念を捧げたいと思います
2014年4月13日