松葉ヶ谷雁信

Scroll

台風

先週の木曜の夕方 ハワイ島を台風が襲いました マウイ島 そしてこのオアフ島の南側を通って抜けていきました ハワイ島のヒロ教会 マウイ島のプウネネ教会共に大きな被害はないそうです しかし 久しぶりの台風でいろいろなところで被害が出たようです 被害に遭われた方にお見舞い申し上げます

このような自然災害を目の当たりにすると私はいつも日蓮聖人が書かれた『立正安国論』を思い出します 『立正安国論』はその当時起きた大地震 台風 伝染病 飢饉やその他の災害を目の当たりにして書かれたものだからです 日蓮聖人は このような災害が起きる原因は善神が正しい教えを信じないから日本を捨ててしまったからであるといわれました

非科学的な意見であると私は昔否定的でした 700年も昔の人だから仕方がないと思っていました しかし 私は勉強を重ねて違う意見を持つようになりました それは 科学は年々月々日々多くの人の努力により発展しています 700年前とは比べ物にならないくらい発展しました 昔はわからなかったことが たくさん分かるようになりました たくさん分かるようになって よく分かったことがあります それは これほど発展した時代でもまだまだ分からないことがたくさんあり すべてのことを理解することは不可能に近いということです 知れば知るほど分からないことが出てくるのです 例えば 台風はどのようにして発生するのか どの季節に発生するのかということは現代科学で解明できました しかし いつ発生するのか どのように成長しどのようなコースを進むのかはわかりません 今私たちができることは 台風を発見し 観察し どのくらいの大きさで どのようなコースを進むのか予想するだけです そしてその予想は 時々外れます 現代科学がいくら発展したからといってその程度のことしかできません 台風を発生しないよう阻止したり 発生したものを消滅させたりコントロールすることはいつまでたってもできそうにありません 自然の前には人間の力は無力といっても過言ではありません ですから もし自然の向こうに何か大きな力があったとしても人間には知る術はないのです 自然を動かす大きな力を善神と呼び それに祈ることは現代においても非科学的なことでも無意味なことでもありません なぜなら 科学の粋を集めても私たちには窺い知ることのできないことなのですから 古い時代の事と無視されていたことが 現代において科学的に解明されてその意味の重大さを再発見されることが多々あります ですから 善神も一概に無視はできないのです

仏様は 全てに縁という因果関係があることを教えられています 全てのことが目に見えない複雑に絡み合った縁の中にあります 自然も私たち自身も その縁の中で生かされています ですから 縁を大切にしなければならないのです

縁を大切にするということはどういうことでしょうか それは 簡単に言えば 人を大切にするということです なぜなら 縁は人によってもたらされることが多いからです 例えば ある人と知り合いになったとします その人を大切にすれば 仲良くなることができます 仲良くなれば その人の家族とも知り合いになるでしょうし 親戚や友達とも知り合いになるでしょう そうして縁がどんどん広がるのです もしその人を大切にしなければどうなるでしょうか もちろんその人と疎遠になるでしょうし その人の家族や親戚友人とも疎遠になるでしょう つまり 縁が広がらなくなり 狭くなるのです 縁が広がらないということは その人が成長しないということでもあり 幸せから遠のくということでもあります

縁が広がらないことがなぜ狭くなることになるのでしょうか また 幸せから遠のくことになるのでしょうか それは 私たちは私たちだけで生きているわけではなく 多くの人と共に生きています 自分から縁を大切にしないということは 例えば古い友人に何年も連絡をしないことと似ています 気づいた時には 友人は引越しをしたり電話番号が変わり連絡できない状態になってしまっていたということになりかねません 自分から縁を大切にし 縁を広げようとしないと 縁はあっという間に狭くなります 人の幸せは人との縁の中にあります 縁が広がらないと幸せもないのです もし 人との縁の中に幸せがないのならば 一人でいるのが本当の幸せならば みんな家族を作ることなく ばらばらに山の中に住めばいいことになります しかし実際にはそうではありません 人は幸せになるため他の人と交わります 生まれも育ちも違う人が集うのです 新たな家族を作ることもあります 何故でしょうか 一人で生きるのは大変だからです 他の人と生きていくところに幸せがあることを知っているからです そうして他人と縁を結んでいくのです 縁を広げていくのです そしてそのことの大切さを仏様は私たちに教えられているのです

私たちはいろいろな縁の中に生かされています しかし それをつい忘れてしまいます ですから繰り返しそのことを確認する必要があります 忘れないため より理解を深めるために私たちには修行が必要となります だから修行が大切なのです 修行を通して縁の大切さを何度も学ぶのです 台風が来ないように あるいは来ても被害が最小限で済みますようにと祈ることは非科学的なことではなく 重要なことだと思います それは 台風さえも縁の中にあるからです 皆さんと共に祈りたいと思います 

2014年8月10日