あけましておめでとうございます
皆さんあけましておめでとうございます
ご参拝ご苦労様です 2015年最初の法要へようこそ 今日はどのような朝を迎えられましたか 今年2015年は未年です 正確には 1月1日から羊年が始まるわけではなく 2月4日からとなります ですから 今日1月1日から2月3日までに生まれた人は 午年となり 2月4日以降に生まれた人が未年となります
未年というのは 中国の古代思想に基づくものなのです どのような年かというと 羊は中国では幸運な動物とされており 群れで生活するところから家族の安泰を表し いつまでも平和に暮らすという意味があるそうです ですから 2015年は平和な年になりそうだと私は期待しています
また未年生まれの人は 穏やかで人情に厚い人が多いそうです その一方で経済的センスを持っていて 財を成す人も多いそうです この中に未年生まれの方はいますか?羨ましい限りです 皆さんはこの一年をどのように過ごそうと考えておられますか?
さて 日蓮聖人は数多くの手紙を書いておられ 現在でもたくさん残っています いくつかお正月に書かれたものがあります その中で1280年1月11日に身延で南条時光に宛てた手紙があります 1月3日に受け取った供養に対するお礼状として書かれたものです 少し余談となりますが どのような供養を贈られたのかわかりますか?お手紙には 餅60個 酒 山芋50本 蜜柑20個 干し柿を並べたもの1串を受け取ったと書かれています これが何かわかりますか?これは典型的なお正月の食べ物なのです つまり 年頭に当たり南条時光が お正月の食糧を日蓮聖人に贈ったということなのです そして これらのものは現代でもいまだにお正月に食べられているのです 御宝前を見て下さい 5種類の贈り物の内 山芋以外のもの つまり餅 酒 蜜柑 干し柿をお供えしています わかりにくいかもしれませんが 真ん中の白いものが餅 その上にのっているのが蜜柑と干し柿です オレンジの両側に酒がお供えしてあります そしてこのお手紙から このような食物が少なくとも日蓮聖人の時代から700年以上続く伝統であることがわかります すごいことだと思いませんか
昔は科学的な調査などできませんから経験によって判断するしかなかったはずです 実際に食べてみてどのような効果があったのかを経験し それを蓄積していくことで知識を広げ また意味を付与することで生活を豊かにしていきました そのようなものが後世に伝統と呼ばれるものに変わっていったのでしょう 当時は科学的根拠はわかりません しかし 伝統といわれるものには それなりの理由があることが現代になってやっとわかるようになります お正月の食べ物は 食材の乏しい冬に入手しやすいもの 保存がきくもの 体を温めるものが基本となっています 心と体の健康を保つことができるものが 最も縁起の良いものと言えると思います 逆に言えば お正月に縁起の良いものとは 心と体にとって良いものと言えます その意味で 伝統とは長く受け継がれるべきものと言えるでしょう
話が大分それてしまいました 日蓮聖人は このようなお供えに対してお礼を言われ それに続けて次のように述べられています
「花が開いてこのみとなり 月は出て必ず満ちる 灯は油を差せば光を増し 草木は雨が降れば栄える 人は善根をなせば必ず栄える 」(『上野殿御返事』)
これは法華経の行者を支える功徳を説かれたものです 私たちの心には常に迷いがあり 自明のことと思っていても不安になる時があります しかし 花が咲いて実がなるように 月は必ず満ちていくように 油によって灯がより明るくなるように 雨によって草木が成長するように 人も良い行いを成せば発展します よい業を積めば必ず悟りを得ることができ 永遠で最高の幸せを得ることができると教えられているのです 皆さんも信仰に励み よい行いを成し よい業を積み 少しでも仏様に近づくように努力を重ねて欲しいと思います それこそが 今年一年を平和に過ごす一番の秘訣だと思います
皆様のご多幸をお祈りします
2015年1月1日