法華七喩
皆さんおはようございます
ご参拝ご苦労様です 今日は新しい本についてお話ししたいと思います お気づきのことと思いますが 皆さんの座っている長いすに新しい本を入れています 赤い表紙の小冊子で 『7喩を通してみる法華経』という題がついています 日本で出版されたものを 翻訳してホノルル妙法寺から最近出されました ホノルル妙法寺から寄贈されましたので 長椅子に他の経本と同じように入れて 大切に使いたいと思っています
お手元にある法華経は お釈迦様の最高の教えとして有名ですが 多くの比喩を説かれていることでも有名です 多くの比喩の中で特に有名なものを法華七喩といいます お釈迦様は多くの場合比喩を使って教えを説かれています 以前にもお話ししましたが 私達の最終目標である悟りについては 直接的には何も話をされません お経の中でお釈迦様は 悟りとは悟りを得ないとわからないと言われています 悟りとはそれほど難しいといえるかもしれません しかし このように考えてみて下さい お釈迦様が悟りとはこれであると言われた場合 私達はそれを理解できるでしょうか 実際にはかなり難しいと思います 例えば 身近にあるものとして お釈迦様が悟りとはパンケーキであると言われたとします そのパンケーキを私達は正しく理解できるでしょうか 2500年ぐらい前のパンケーキと現在のパンケーキはかなり違うと思います 小麦粉もバターも違うでしょう 同じパンケーキと言いながら 実態は全く違うことがありえるのです また パンケーキの持つ意味も違うかもしれません 私が小さい頃 パンケーキはあこがれの食べ物でした 当時バターは非常に高価で 普通の人が気軽に買えるものではありませんでしたし 私が育ったところはとても貧しいお寺でした だから 親にパンケーキを食べてみたいということさえできませんでした 現在ではパンケーキはいつでも食べられるものになっています わずか40年ぐらいの違いでパンケーキに対する私の思いはかなり違ったものとなりました また 日本とハワイという環境の違いもあるでしょう このように考えると 2500年前と現在では大きな違いがあり 同じパンケーキという言葉であっても全く別のものを指し その意味が大きく変わることが考えられます そこでお釈迦様は 直接表現されることを避け 比喩という物語の中で間接的に表現されることにされたのだと思います 物語の中で間接的とはいえ説かれることによって 時代を超えて場所を超えて多くの人が理解できるようになっているのです
ではこの小冊子を実際に手に取って開いてみて下さい 序文の後に 七つの比喩が書かれています それぞれ①第3章譬喩品に説かれる三車火宅の喩 ②第四章信解品に説かれる長者窮子の喩 ③第五章薬草喩品に説かれる三草二木の喩 ④第七章化城喩品に説かれる化城宝処の喩 ⑤第八章五百弟子受記品に説かれる衣裏繋珠の喩 ⑥第十四章安楽行品に説かれる髻中明珠の喩 ⑦第十六章如来寿量品に説かれる良医治子の喩です この本の面白いところは 最初にそれぞれの比喩がどのようなものか漫画で簡単に説明されていて その後に解説が載せられているところです 難しい教えをなるべくわかりやすくするためにこのような形になっているのです 今日はそれぞれの比喩について詳しくお話しする時間はありませんので 近い将来少しずつお話をしたいと思っています ただ 皆さんにはこのような小冊子が出版されたこと お寺の長椅子にいつも置いていることを知っておいてほしいと思います そして それぞれが興味深い物語ですので もし法要前などに時間があれば 皆さんも少しずつ読んでみて下さい
2016年2月28日