松葉ヶ谷雁信

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未来へ伝える平和の責任

今日(2016年12月8日)は 真珠湾攻撃75周年ということで 日米両側の犠牲者のための慰霊追悼と世界平和祈願のための法要を行いました なぜこのお寺でと思われた方もいると思います 詳しいことは『 忘れられたハワイ・ホノウリウリ監禁所』をお読み下さい

簡単に言うと このお寺には 真珠湾攻撃で散った日本海軍の兵士65柱を記載した霊簿 リストを1973年から奉安しており ずっと供養を続けてきました 今年は75周年に当たり いろいろな記念行事が計画されている中で 日本の軍人も追悼対象に含めたものはあまりないようでした そこで 三澤康日本国総領事に 真珠湾で日米を問わず亡くなった全ての人の為に是非供養をしてあげたいとお願いをしました

三澤総領事は 趣旨を深く御理解され 大変な御尽力をして頂きました アメリカ海軍やその他の関係機関と困難な交渉を重ねられ その結果 本日早朝に真珠湾において追悼式典を執り行うことができました 三澤総領事や東領事を初めとする総領事館の皆様には御礼の言葉もありません またご協力頂いた75周年記念式典実行委員長トーマス・ファーゴ提督 アメリカ海軍ハワイ方面司令官ジョン・フューラー提督等多くの方々にも深く感謝しております 加えて アリゾナ記念館の主任歴史家ダニエル・マルチネス氏のご厚意でアメリカ側犠牲者のリストをこのお寺に頂戴できたことはとても有難いことでした また 日蓮宗宗務院より御理解御支援を頂いたことも忘れることができません

真珠湾で行うことはとても意義深く 有難いことでした しかし 軍事基地内であるため限られた人しかお参りできず またその他事情もありました そこで できるだけ多くの人にお参りして頂きたいと思ったことと 日米両方の犠牲者の霊簿を並べて 慰霊供養をしてあげたいと思い このハワイ日蓮宗別院で法要を行うことにしました 法要に際して ハワイ仏教連盟の御後援を頂いたことも有難いことでした

正直に言えば 皆様にお集まり頂いて このような法要が開催できるとは思っておりませんでした というのは 三澤総領事にお願いしたのが 8月の初め 4か月前です 通常このような行事は少なくとも一年前から計画し 6か月前には概要は決定されています つまり 私がお願いした時は 全て計画が終わった後だったのです あまりにも間際のことだったので 当然のことながら75周年の公式行事のスケジュールの中には記載されていません 通常なら無理だと断られても仕方ないと思います それが実現したということは どういうことでしょうか 先ほど申し上げましたように 三澤総領事を初めとするの方々のご尽力の賜物であることは言うまでもありません そして 私は 犠牲者の諸霊位がそれを望まれ 見えないところからサポートして下さったからだと思います そうでなければ この奇跡のようのことが可能になるはずがありません 大変有難いことと思います

さて 私たち人間はとても忘れっぽい存在です 多くのことを時間とともに忘れてしまいます しかし 忘れてはならないものも世の中にはあります 真珠湾攻撃で亡くなった尊い犠牲は絶対に忘れてはいけないものと考えます 過去に起きたことを未来に伝える責任が現在を生き私達にはあります 過去の犠牲を無駄にしないために未来永劫に平和と友好を守る義務が私達にはあります そのことを改めて理解し 確認し 決意するために今日の法要はどうしても必要なものでした

皆さん 昔私達がどれほど大きな犠牲を払ったのか そのお陰で今日の平和と友好があることを そして将来にわたってそれを護っていかなければいけないことを どうぞご家族に ご親戚に ご友人に伝えて下さい それにより 犠牲者の霊は慰められ 喜ばれます

2016年12月8日