松葉ヶ谷雁信

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令和五年を目前にして

令和四年も残すところあとわずかとなりました 皆様にとってこの一年はどのような年だったのでしょうか 私にとっては とても忙しかったけれど 日頃の思いが形になった年と言えるかもしれません

ご記憶の通り 今年は日蓮聖人御降誕八〇〇年の記念の年でした 宗祖に対する信仰や報恩を口にする私が 何もしないわけにはいきません 少しでもいいから 何か御降誕をお祝いする気持ちを形に表したいと思っていました ひょっとしたら 皆様の中には八〇〇年も前に生まれた方にどのような恩を受けたのかと疑問に思われるのかもしれません

私は 九州のお寺で生まれ育ちました お寺で生まれ育つことを「御仏飯を頂いて大きくなる」と私達は言います 日蓮聖人と深いご縁のあるところに生を受け 日蓮聖人へのお供えのおこぼれを頂いて大きくなる つまり 宗祖のお陰でひもじい思いをすることもなく 学校にも行くことができました 御仏飯であるが故に 私の父は食べ物の好き嫌いにはとても厳しく 残すことは許されませんでした このように御仏飯を頂いてきたことを 私は終生のご恩と考えています 加えて 学業を終えて海外に出て以来 どこかに行きたいと自分から志願したことはなく ご縁を頂いたところに赴任してきました その先々で色々得がたい経験を積ませてもらいました つまり 私はこれまで御祖師様にずっと導かれてきました ですから 御降誕八〇〇年という慶事に何もしないわけにはいかなかったのです

物事には 自分で企画実行できることとできないことがあります 当山でのことは 例えば信行会の再開であったり釈尊涅槃図の修復であったりは 住職として企画実行できました 一方 自分だけではできないことは 鎌倉組(旧鎌倉市内の十八の日蓮宗寺院教会)の皆様と協力して多くのことを実行できました

日蓮聖人に対するご恩返しとして 多少なりともできたことは とても嬉しく有り難いことでした 皆様のご理解ご協力に深く感謝致します

来る令和五年は 私は還暦となり 変化の年となります どのような年になるのか想像がつきませんが 信仰と報恩をより深めるべく 精進を重ねたいと思います 宜しくお願い申し上げます

末尾ながら 皆様の明年のご多幸をお祈り致します

合掌

2022年12月31日