松葉ヶ谷雁信

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令和五年を振り返って

今年も残すところあと僅かとなりました 皆様にとって 令和五年はどのような年であったのでしょうか きっといいこともそうでないことも 色々あったのではないでしょうか 私自身もそうでした

今年はいつにも増して忙しい年明けでした 立正大学の非常勤講師を務めていましたので 早々の授業開始でバタバタとしていました お彼岸やお盆等の 通常の行事以外の特別なものだけを挙げれば 二月には 修復が完了した釈尊涅槃図がお寺に戻ってきました 八十七名の方に総額二六〇万円のご寄付を頂きましたこと 厚く御礼申し上げます また ウクライナ侵攻一周年に当り 当山で諸宗教による平和の祈り式典を開催しました 天台宗 臨済宗 時宗 カトリック プロテスタントの僧侶の方がお越しになり 共に平和を祈りました 四月には久しぶりに「であい寄席」を開催し 生の落語を聞いて楽しみました 五月には 鎌倉ワーケーションウィークでお寺を公開して リモートワークの人を観音堂に受入れました 六月には ハワイからの団参を数名のお檀家さんと共にお迎えしました 九月には 鎌倉時代の鉄壺の修復が完了し 一年半振りに当山に帰ってきました 十月にはおてら食堂を始めましたし お香の会も開催しました 十一月にはまた鎌倉ワーケーションウィークでお寺を公開 十二月は 二回目の香りの鑑賞会を開きました 当山の行事ではありませんが 九月に日蓮宗鎌倉組で関東大震災追悼法要を行いました

このようなお寺の活動に加えて 五月には宗務所長にも就任しましたので 宗務所の仕事もあり 他のお寺さんの冠婚葬祭などで挨拶を依頼されることも多く 本当に多忙な一年でした

なぜ色々なことを行うのですかと聞かれたことがあります 以前お話しした宗祖日蓮大聖人に対する報恩の気持ち以外に 二つの理由があります 一つには 私はいろいろな催しで当山に来られる方に 今回が何度目の来山ですかとよく尋ねるのですが 多くの方が初めての訪問と言われます それがとても悲しいのです 私は 安国論寺は本当に素晴らしいお寺だと思っています 決して大きなお寺ではありませんが 由緒も歴史もそして境内も とても素敵なお寺だと思っています そのようなお寺が 多くの人に知られていないことが非常に残念なのです ですから いろいろな催しを行うことによって 人々の関心を引き 多くの人のお参りにつながればと思っています

もう一つの理由は 宗祖日蓮大聖人は 『諸法実相抄』というお手紙の最後に 次のように述べられています 「行学の二道をはげみ候べし 行学たへなば仏法はあるべからず 我もいたし人をも教化候へ 行学は信心よりをこるべく候 力あらば一文一句なりともかたらせ給ふべし 」現代語訳すると 「修行と学問の二道を怠らず励むことが肝心である この行と学の二道が絶えるようなことがあれば 仏法は滅んでしまう まず自分自身がこの二道に励み 得たことはただちに他の人々に教えていきなさい そしてこの行学の二道は 信心から起こり始まっていくのである もしも自身に少しでも力があるならば たとえ一文一句であっても 他に向かって語り伝えていくべきである 」宗祖であり当山の開山である日蓮大聖人のお言葉ですから 私は肝に銘じてそれを忠実に実行しなければならないと考えます ですから 布教の機会としてできることがあれば 何でも挑戦してみようと思っています

六月にコロナに罹患しましたので 今年は無病息災ではありませんでしたし さすがに布教も休まざるを得ませんでした しかし 兎にも角にも一年過ごすことができたことが 今は何より有り難く思います 手を合わせ お題目をお唱えしながら 仏様や日蓮大聖人 檀信徒の皆様 ご縁を頂いた多くの方に深く感謝したいと思います 本当にありがとうございました

本年中は大変お世話になりました 令和六年もどうぞ宜しくお願い致します 皆様のご多幸をお祈り申し上げます

合掌

2023年12月31日